京都美術文化賞
美術の創作活動を通じて京都府市民の精神文化向上に多大の功績があった人に対して「京都美術文化賞」を授与。
第38回京都美術文化賞受賞者 (敬称略)

川嶋 渉(かわしま わたる) 日本画
1966年京都府生まれ。'89年京都精華大学芸術学部造形学科日本画専攻卒業。日本画特有の素材を活かした技法で、日本で独自に発展してきた花鳥画を「距離」と「時間」に着目し、更なる展開を試みて来た。最近では、物質への意識が自然と画法を生むという考えのもと、墨を「粒であり波である」と捉えた作品を精力的に発表している。「東洋絵画の起源」では、これまでの研究をインスタレーションで発表。'06年京都迎賓館作品制作、'16年室生寺室生山水図屏風制作、'18年日展審査員('23年)、'05年より京都市立芸術大学(日本画専攻)教員、'24年より同大学理事/副学長。
展覧会
'09年「東方岩彩画展 東アジアにおける岩彩画の展開」(中国)、'11年「敦煌意象・中日岩彩画展」(中国)、'15年「琳派400年記念展 現代作家200人による日本画・工芸展 京に生きる琳派の美」(京都文化博物館)、'16年「琳派400年記念『-琳派降臨-近世・近代・現代の「琳派コード」を巡って』」(京都市美術館)、'19年個展「粒であり 波である」(大雅堂/京都)、'20年「STEAM THINKING-未来を創るアート京都からの挑戦アート×サイエンスGIG」(京都市京セラ美術館)、「KYOTO STEAM2020国際アートコンペティション スタートアップ展」(京都市京セラ美術館 東山キューブ)、'21年「Lost in Translation」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)、'23年個展「粒の表情−現象−」(日本橋三越本店/東京)など多数。
受賞
'92年「京都日本画家協会選抜展」佳作賞('93年京都府知事賞)、'96年「日展」特選('02年)、'04年京都市芸術新人賞受賞、'18年「改組新第5回日展」京都市長賞、'23年「第10回日展」日展会員賞など。
代表作
「銀波紋」('14年)、「粒であり波である」('19年)、「東洋画の起源」('21年)

「銀波紋」2014年

「粒であり波である」2019年

「東洋画の起源」2021年

撮影:田口葉子
赤松 玉女 (あかまつ たまめ) 洋画
1959年兵庫県尼崎市生まれ。'84年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻(油画)修了。相反する感情が同時に存在し、複雑に移ろう人間の内面をテーマに、油彩、水彩、フレスコ技法など、画材や技法を組み合わせた絵画表現を研究。イタリアでの創作活動などを経て、'90年代には女性3人のアーティスト・ユニットでの活動や、'10年代には障害のある人々や家族、支援する人々と一緒にアートを通した交流や サポートの実践を行った。'93年より京都市立芸術大学美術学部美術科教員(油画)、'19年4月より同大学学長(~'25年3月)。現在、同大学名誉教授。
展覧会
'14年個展「赤松玉女-絵画の軌跡 1984-2014」(西脇市岡之山美術館/兵庫)、'17年個展「あいまいのものがたり」(ギャラリーヒルゲート/京都)、'19年個展「monologue」 (ギャラリー白/大阪)、'20年個展「わたしじゃないわたし、あなたじゃないあなた」(ギャラリーヒルゲート/京都)、'21年個展「まなざしのものがたり/A Story of Looking」(尼崎市総合文化センター美術ホール/兵庫)、'23年個展「アートをめぐるお茶のひととき」(旧三井家下鴨別邸/京都)、'25年京都市立芸術大学退任記念展「Ladies-これでおしまい、そしてここから」(京都市立芸術大学内)など国内外で個展・グループ展多数。
受賞
'83年全関西美術展全関賞3席('84年同読売テレビ局賞、'86年同全関賞1席)、'84年京都府美術工芸選抜展京都府買上げ、'99年京都市芸術新人賞、'20年尼崎市民芸術賞、'21年亀高文子記念-赤艸社賞、'24年兵庫県文化賞など。
代表作
「ICONOVOGUE Drawing Series」('06~'09年)、「Ladies」('13年)、「だからだいじょうぶ」('17年)、「あなたじゃないあなた 結晶」('20年)

「ICONOVOGUE Drawing Series」
(2006~2009年)

「Ladies」2013年

「だからだいじょうぶ」2017年

「あなたじゃないあなた 結晶」2020年

提供:思文閣、Photo: Tadayuki Minamoto
三代 宮永 東山 (みやなが とうざん) 陶芸
1935年京都府生まれ(本名 理吉)。京焼の名窯・宮永東山窯に生まれる。'58年京都市立美術大学彫刻科卒業、辻晉堂、堀内正和らに学ぶ。'60年同大学専攻科を中退、渡米し、アート・スチューデント・リーグで学ぶ。'62年行動美術協会会員(~'69年)、'70年走泥社同人になる。'99年三代宮永東山を襲名。始めは陶土の質量感を活かしたアプローチを試み、'64年以降は磁器を主体とする。'70年からは幾何学的な造形を主題に、青白磁や、色土を用いた「彩泥」による鮮やかな色彩の作品を制作。'84年には紙型をベースにした折形シリーズを発表し、面と立体の新たな構成に挑戦。以降は青をベースにしたモノトーンの世界観を展開する。
展覧会
'64年「現代美術の動向―絵画と彫塑―」(国立近代美術館京都分館、'65年)、'70年「6人の若い日本人陶芸家」(スクリップス大学ギャラリー/アメリカ)、「現代の陶芸:ヨーロッパと日本」(京都国立近代美術館)、'71年「現代の陶芸:アメリカと日本」(京都国立近代美術館)、'79年「今日の日本陶芸」(デンバー美術館/アメリカ)、'95年「日本陶芸展」以後継続出品、「ジャパニーズ・スタジオ・クラフツ」(ビクトリア&アルバート博物館/イギリス)、'99年襲名記念「東山三代展」(京都文化博物館)、'00年「うつわをみる」(東京国立近代美術館)、'01年「京都の工芸―1945-2000」(国立近代美術館/京都・東京)、'04年個展(ぎゃらりぃ思文閣/京都、ギャラリーなかむら/京都)、'15年個展(ぎゃらりぃ思文閣/京都)、'23年「三代東山展―宮永家の人々―」(思文閣/京都)など多数。
受賞
'59年行動美術協会展彫刻部奨励賞、'98年京都府文化賞功労賞、'08年京都市芸術振興賞、'23年日本陶磁協会賞金賞、'24年京都府文化賞特別功労賞など。
代表作
「海」('73年)、「記憶の光景」('97年)、「雲の柱」('24年)

「海」1973年
写真:畠山崇
京都国立近代美術館蔵

「記憶の光景」1997年
写真:畠山崇
京都国立近代美術館蔵

「雲の柱」2024年
写真:菊池陽一郎
第37回京都美術文化賞贈呈式
2024年5月27日、ウェスティン都ホテル京都において、第37回京都美術文化賞贈呈式を開催しました。

左より 草間 喆雄氏、吉岡 俊直氏、猪熊 佳子氏
第37回京都美術文化賞受賞記念展
終了

内容
第37回京都美術文化賞受賞者である猪熊佳子氏(日本画)、吉岡俊直氏(版画)、草間喆雄氏(ファイバーアート)の受賞記念展を開催します。
特別展示「京都美術文化賞のあゆみ」と題して過去の受賞者9名(第16回~第18回)の作品も併せて展示いたします。
【特別展示】
第16回受賞者―森本 勇 竹内 三雄 河田 孝郎
第17回受賞者―加藤 明子 木田 安彦 林 秀行
第18回受賞者―吉川 弘 柳原 睦夫 望月 玉船
会期
2025年1月17日(金)~1月26日(日) (1月20日(月)休館)
会場
京都文化博物館 5階展示室